現場の声を聞き、改善に挑む:プロトタイピングの力

製造業では、生産性向上のために様々な取り組みが行われています。例えば、作業の無駄を見つけ、進め方や手順の改善に取り組んだり、システムの導入による効率化などです。しかし、最近の業務の複雑さと人手不足は、工場管理の更なる変革が必要であることを示しています。

例えば、既存の生産管理システムはWindowsデスクトップアプリが主流であり、外部サービスとの連携やデータ活用などの視点が欠けています。アラートメール機能がない場合でも、システムベンダーに依頼しなければならず、追加のコストが発生します。監視が必要なデータは、毎回アプリケーション画面を開いて確認する必要があり、省人化がされない工程が残ってしまします。各工程間の情報受け渡しは、紙の作業指示書で管理され、重量や寸法のデータも手動でシステムに入力されるといったこともあります。

これらの課題は、ユーザーエクスペリエンス(UX)の問題と言えます。UXの改善には、まず始めに現場の最も困っている課題に対応することが重要です。全員が共通の問題に取り組むことで、前向きな反応が得られやすくなり、プロジェクトが進みやすくなります。この際、現場の要望をヒアリングし、enebularを使って1週間程度でプロトタイプを作成すると、大変喜ばれます。最近では、クラウドサービスによってシステム調達のコストが下がり、ハードウェアなどもケース付のRaspberry Piなどすぐに製造現場で使える小型デバイスも出始めています。また、プログラミングが苦手であってもNode-REDなどのローコードツールでアプリケーションが簡単に作れるので、プロトタイプを作成するハードルがさがっています。

プロトタイプがあれば、ニーズの誤解を修正し、具体的な議論を進めることができます。実際に見たり触れたりすることで、改善のアイデアが生まれ、優先順位についての議論も進むでしょう。プロトタイプを活用することで、多くの課題が短期間で解決できるようになります。

デジタルトランスフォーメーション(DX)において最も重要なのは、技術的な問題よりもむしろ、組織や個人が変化そのものを受け入れることができるかどうかです。enebularを使ってプロトタイピングにチャレンジし、組織や人に変化をもたらしましょう。

工場内でヒアリングする二人

スマートシティにおける市民参画とNode-REDの利用

市民がスマートシティの開発に参加することは、その成功にとって重要な要素の一つです。参加する市民は必ずしも技術者である必要はなく、市民開発者とプロの開発者が協力することで、より効率的かつ創造的な解決策が生まれる可能性があります。Node-REDは、ユーザーが視覚的なインターフェースでプログラムを作成できるツールで、市民開発者が自分のアイデアを形にし、プロの開発者とのコミュニケーションに役立ちます。

このプロセスを円滑に進めるために、プロジェクト管理とリソースの共有が重要です。enebularはそのためのツールを提供します。enebularのフローやノードの共有機能を使用すれば、市民開発者とプロの開発者は共に作業することが可能です。

スマートシティにおける市民の参画は、テクノロジーの力を活用して都市の問題を解決するための手段となり、また、市民自身が自分たちの暮らしや環境を直接改善するための重要な手段となります。enebularとNode-REDのようなツールを活用することで、市民開発者とプロの開発者は力を合わせて、よりスマートで効率的な都市を実現することが可能となります。

市民開発者とプロ開発者が議論する光景

点検作業の省人化や 事故防止を支援する – ファシリティ・マネジメント

大規模施設の設備管理方法を見直さなければならない時代になっています。すでに効率化されつくしたこの領域は、従来の方法ではこれ以上の効率化を望むことが難しいにも関わらず、人材不足により設備の状態を確認するための労働力確保が年々困難になっています。

従来の設備管理は、人に大きく依存していました。大規模施設では、障害による影響が非常に大きいため、特に入念な管理体制がひかれていました。たとえば、営業終了後に監視員が厨房に出向き、出火の要因となりうる熱源やガス源が完全にたたれているかを確認していました。

これらの作業はIoTで代替することが可能です。ガスの漏出はガス検出センサーで、計器を読み取らなければならないようなものであっても画像処理によって値を取得することが可能です。敷地内にLoRaWANのネットワークを張り巡らせれば、取得したデータを無線でクラウドへ連携させ、各種可視化ツールで施設全体の状況を現地に赴くこと無く確認することができます。
しかし、その場合、施設全体にデータ取得用のデバイスが散らばることとなるため、その管理や運用が非常に困難となります。enebularを使用することで、それらの運用を容易にすることができます。

ヒトを見守り、モノを追跡する – アセット・トラッキング

目の届かない場所にあるモノやヒトの状態を把握することは、その管理者にとって最も大きな関心事の一つです。IoTの技術を活用することで、きめ細かな状態の把握や、新しいサービスの提供が可能となります。

たとえば、GNSSとセルラーLPWAの技術を組み合わせることで、物流において、パレットやコンテナを個別に把握することが可能となり、位置情報だけでなく、気温や振動といった運送状態の把握が可能となります。さらに、温度が閾値を超えたときにアラートを発する、といった処理が可能となり、運送物の品質の担保や顧客体験の向上を見込むことができます。

子供や高齢者の見守りサービスにおいても、この技術を応用することができます。前述のLPWAという省エネルギーな広域通信方法の実現に加え、太陽電池に代表される充電技術の効率化によって、より身近で扱いやすいデバイスが設計できるようになりました。これらの技術を応用すれば、バッテリー切れの心配が少ない、位置情報の送付機能が付いた防犯ブザーを実現することも可能です。

enebularを使用することで、コンテナなどに備え付けられるエッジ側のデバイスと、エッジから収集されたデータを処理するクラウド側の両方のアプリケーションを、同一の環境で開発することが可能です。また、ネットワークに接続されていれば、遠隔でエッジ側の処理を修正/変更することが可能であるため、大規模運用も容易に行うことが出来ます。

AIのエッジ運用を支援する – enebular AI empowerment

AIとIoTの組み合わせは非常に大きな可能性を秘めています。さらに、AIをエッジで動作させることにより、すべてのデータをクラウドに連携するのではなく、必要なデータのみを連携することが可能となり、低コストで素早いレスポンスと高いセキュリティを実現することができます。

推論モデルをエッジ・デバイスで運用することで、素早いレスポンス・通信量の削減・⾼いセキュリティを実現します。

enebularは、クラウドとエッジで動作することで、このような分散型のAIとIoTシステムの開発を支援します。また、enebularのもつ特長は、AIとIoTの組み合わせをより効果的なものとします。例えば、一度作成されたAIモデルが永続的に有効であるとは限りません。よりよいAIモデルが開発された際には、古いAIモデルはアップデートされるべきです。enebularは、遠隔で様々な場所に散らばったハードウェア上で動作するAIモデルを更新することが出来ます。この特長は、時間や状況によって動作させるAIモデルを変更したい場合にも有効です。

enebularを活用したAIとIoTのユースケース

樹脂製造工場
ノウハウのデジタル化で歩留まりを改善

これまでは熟練工がライン状況を考慮して調剤投入量を調整していましたが、環境規制による材料変更で歩留まりが悪化。センサーデータと生産量や品質データの相関を学習することで、製品別の最適なレシピをデジタル化。また、センサーデータと生産計画に基づきレシピを遠隔から更新し、短期間でのライン更新を実現。歩留まり改善をめざします。

電子部品製造装置メーカー
予防保全機能を搭載し止まらない装置を実現

新製品に予防保全機能を搭載し、止まらない装置を実現します。各種センサーデータと故障の相関を学習することで、これまで有効と思われていたものよりも重要なパラメータを発見。さらに次期モデルでは、AI推論モデルを搭載し、稼働中に点検・交換の自動アラート・ヘルプデスク連携機能を実装することも可能に。

工事現場
画像解析による進捗管理と建機・資材の盗難防止

カメラ映像を一定間隔で解析し、変化量でおおよその工事進捗状況を把握します。変化量を異常値と判断して、現場監督にアラートメールを配信するなど、複数現場を担当する監督者の負荷を軽減します。さらには、夜間に推論モデルを自動で切り替え、建機・資材の盗難防止を行います。

ショッピングモール
お客様の属性に応じたサイネージによる広告配信

セキュリティカメラの映像をリアルタイムに解析し、来場者の属性をカウント。季節・時間・イベントなどに紐付いたオススメ情報をサイネージに配信し、客単価を上げます。インテリジェントカメラで属性を判定し、サイネージと直接連携することで通信コスト軽減と高セキュリティを実現します。